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映画 臍帯(さいたい)

 こんな映画が好きだ・・・という人のために作られた映画です(たぶん)。2010年の東京国際映画祭で上映され、その時の監督の目論見によると、世界の映画祭に出場して、評価を得て、凱旋上映が出来ればということのようです。まあ、1年半たって、一応凱旋(といっても今のところ国内で4館の上映)ということで、観てきました。世界に出たあと、無視されず上映できたので、まあ目論見は半分くらいはうまくいったのですね。

 DVDでも出ないでしょうし、見にいく方もそういないでしょうから、あらすじも行きます。ある事情で赤ん坊の時に捨てられてしまった主人公(於保佐代子)が、成人して、捨てた母親を見つけ出し、幸せに暮らしている新しい家庭を、壊していく過程を描いたものです。

 オープニングは粒子の粗いような画面で、雨の降る海岸線の長廻し。そして、主人公が幸せな家庭を、木の陰からじっと見詰めているショット。ほとんど、セリフがなく、暗い色調のシーンが続きます。ただ映像表現が素晴らしく、始まってすぐ、心はわしづかみにされるんですねぇ。あくまで「こういう映画が好きな人」はですよ。

 事件は、誘拐です。母親の新しい子ども(柳生みゆ)、主人公にとって血のつながった妹にあたるわけですが、その娘を言葉巧みに誘拐します。この場面がリアリティあふれていて、なかなかなんですね。主人公が母親をどうやって見つけたのかということ、軟禁する海辺の倉庫の不自然さなど、他のシーンがあまり説明的でないが故、この誘拐の場面のリアルさに迫力を感じてしまうんです。

 軟禁シーンは、5日間続くんですが、互いに言葉を交わすわけでもなく、復讐してやるという主人公の壮絶な雰囲気が、圧倒的な構図のよさ、暗さを基調とした画面の中で、じわじわ伝わってきます。於保佐代子(この人、サントリーのCMなんかに出てるらしいんですが)の、目だけで演技してる感覚が、女優って凄いなぁと思わせてくれます。

 そして、この軟禁されている倉庫の空間は、母親の子宮の暗喩なのだと思います。5日目かなんかに、外の雨が天井の方から垂れているロープのようなものに、伝って落ちるんですが、これを二人が取り合う(というより、“誘拐犯”が被害者に水を飲ませないようにする)のです。これはまさに“臍帯”の取り合いって事で・・・。

 ラストは、あっけない、しかし、ありがちな結末を迎えます。これを観て、母性本能って言うのは、決して本能なんかではなく、学習していくものなんだなと感じました。うちで飼ってるヒツジなんかも、乳を与えなくなって(乳離れさせて)、1ヶ月もたつと、自分の子どもをほとんど忘れてしまいます。人間だってそんな高等な生き物でありはしないのですから、20年も前に捨てた子どもは、子どもでないのです。

 この世のものではなくなった主人公は、イメージの中で、海に浮かんでいます。これは羊水。場面場面は暗くて、隠喩、暗喩の連続で、難解な映画のように思えますが、割とわかりやすい、胎内回帰の物語の様でもあります。こんな映画、まず興行的にはアウトです。でも、これを作れる力量のある監督さんがいるというのも、うれしいことです。

  昨年、富士見で撮影された「八日目の蝉」とモチーフが相似していますが、あれより数段凄いです。ブログで、「八日目の蝉」が甘っちょろく見えると書いていた人もいました。(あれも結構、最初、原作を読んだ時ははショッキングだったけれどね)

 まだ、東京の立川あたりで観ることが出来るようです。キャッチコピーは

 「・・・だから私は、あんたの一番大事なモノを壊してあげる。」 です。

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 予告編だけでもどうぞ・・・

 http://www.youtube.com/watch?v=HDnjh_B6lss

 

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