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世界屠畜紀行

 ちょっと毛色の変わった本をご紹介します。内澤旬子さんの「世界屠畜紀行」です。この本は、何でも見てやろう的に、世界中(といってもいける範囲)の屠畜事情を丹念にレポートしている本です。著者はイラストを仕事としているので、写真ではなくすべてイラストです。なので、けっこう残酷な場面もあるのに、やわらかくなっていて、好奇心がくすぐられる読み方ができる本です。

Photo  

 その中で興味深かったのは、自分で食べるものを自分でさばく屠畜の文化がある場所では、それほど差別意識が濃くないのに比べ、職業として屠畜が成り立っているような(まあ殆どの国がそうなんだけど)場所では、ちゃんと差別構造も成り立っている、そんな感じを受けたのでした。

 そうなんです。富士見というのも、昔から、シカやイノシシを猟して食べていました。また、密かに(というより集落の中ではおおっぴらなんですが)牛や馬もさばいて食べていたようです。なので、そういったものたいする差別感が非常に薄いんですね。詳しくは学者にでも研究してもらいたいですが、そういうことに興味があった私なりに、非常に珍しい地域だと思います。

 この著者、この本の前に東南アジアのトイレ事情をレポートしてますから、その好奇心、半端ではないです。中でも面白かった・・・というより、技を身につけたいかもと思ったのが、モンゴルのヒツジをさばく場面です。首にちょっとナイフで切れ目を入れて、そこから手を突っ込んで、動脈をキュッとねじる。それで、ヒツジはあの世へ行き、そのあとは、一滴の血も地面に落とさずに利用しつくす、これはすばらしいと思いました。

 続編のような形で、「飼い喰い」という本も出ていて、これもさりげない視点から、“自分が飼った動物を喰う”ということを書いてあり、面白いです。両方合わせてお勧めです。

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