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小説ですが・・・ 「半分のぼった黄色い太陽」

アフリカというと、どうしても虐殺が多いという印象を受けてしまう。ヨーロッパでもアメリカでも、日本でも起きたことがあるのだけれど、なぜだろうと考えてしまった。ざっと思いつくだけでも、ルワンダ、コンゴ、ソマリア、アンゴラ、スーダン、ナミビア、最近ではコート・ジボアールなど、枚挙に暇がないという感じだ。

日本ではあまり報道されないので、たぶん他にもたくさんあるのではと思う。アフリカでなぜこんなにこの種の事件が多いのか? いろいろな説があるが、欧米列強による植民地時代の民族や風土性を全く無視した国境線のせいであるとか、独裁国家や旧宗主国などの傀儡政権が多く、権力が一極集中しているからとか、そんなことが言われている。記憶に新しいルワンダのフツ族とツチ族のケースでは、ラジオでの虐殺のあおりが原因だったとも言われているので、教育制度や教育レベルのようなものも関係しているのかも知れない。

さて、今回取り上げるのは、一昨年翻訳されて話題になった、ナイジェリアの作家アディーチェの「半分のぼった黄色い太陽」という本。ビアフラという地名はどこかで聞いたことがあったけれど、思い出せなかった。インターネットで調べてみた。おなかがポコンと出た子どもの写真に見覚えがあった。飢餓に苦しんだナイジェリアの内戦、ビアフラ戦争が起きた土地だ。その戦争を背景に、双子の姉妹オランナとカイネネ、資産家の家庭に育ったこの2人をとりまく人生の数奇なめぐりを描いた作品だ。

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前半は上流階級とでも言うべき社交界での恋のさやあてや現地の人間と欧米からの人間との交流などで話が進む。そこにオランナの恋人のオデンボとハウスボーイのウグウが絡んでくる。特に、使用人であるウグウの聡明でありながら、若さゆえの性の渇き、そんなものが強調されて描かれる。一転、後半の戦争の場面では結構冷酷な描写が多くなる。しかし、そんな時でも、人間の生きるエネエルギーの根源として立ち現れてくるのは、性にまつわる事柄だったりする。男女の微妙な心の揺らぎや葛藤は、まるで現代のラブストーリーのようにあざやかだ。60年代という設定なのに、作者はわざと現代風な男女関係を入れ込んだのかなと疑うほどだ。この設定が戦争の恐怖をより一層際立たせていたりもする。

ストーリーの柱もいくつかあって、その中でも使用人ウクウの成長物語ははずせない。さらに、登場人物は結構、性に関してフリーなのだ。特に男がだらしない。その辺も注意して読むと面白い。2段組で500ページという大作だけど、あっという間に読めてしまう。この作家、裏表紙に写真が出てますが、ナイジェリアの民族衣装がよく似合う、チャーミングな女性。今後の作品も見逃せないだろう。

ちょっと前に、アフリカのスーダンの南半分が独立し、南スーダンという国が誕生した。国連でも承認され、一つの国が歩み始めた。しかし、スーダンとの間に、紛争の種は尽きないようだ。南スーダンには豊富な石油資源があるが、それを精製する製油所はスーダンの側にある。インフラも整備されておらず、世界でも貧しい国の一つであるスーダンの中でも貧しい地域に位置する。そのあたりが、ビアフラ共和国と一致する。ビアフラの場合は、バックに大国がついた石油争奪代理戦争のようなものでもあった。スーダンも、中国やアメリカはもちろん、日本もパイプライン建設などで関わろうとしている。

アフリカの虐殺や内戦は植民地争奪戦の傷跡が残る上に、こういった複雑な利権構造や民族問題が影響して、過激な展開になってしまうのだろう。そして、現在は、グローバリズムという怪物の負の面によって、さらに複雑な搾取構造が作られ、素人目には、なにも見えない状況に陥ってしまっているのではないだろうか。私たちはアフリカに対して何ができるのか。ウクウが今後どう生きていくのか・・・答えはそのへんにありそうである。

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コメント

love book うえだのやまうらです。
私たちの集まりににお越し頂きお目にかかりました。
その節は遠路ありがとうございました。
私たち仲間内では羊の人として深く印象に残っています。
あれ以来ブログを拝見させていただいていますが、
地に足の着いた芯の通った活動をされていて、いつも刺激をもらっています。
最近本の話をブログにアップされているので、
発言したくなりました(笑)
直接お話しをさせていただいたからこそ、このチョイスに納得!!です。これからも楽しみにしています。

投稿: love book うえだ | 2012年10月13日 (土) 15時49分

 あ~~やまうらさん、コメントありがとうございます。伺いたいのは「やまやま」なんですが、新しいことに取り組んでるのと(ガイドブック)、今年は羊が結構病気が出たりして・・・、それと途中に「やまやま」(峠)があってなかなか伺えません。love bookうえだの集まりは、とっても刺激的なので、また行きたいなぁ~~。
 本のコーナーは、ブログのつなぎで入れてみました。過去に別枠で「としょかんだいすき」会報などに掲載したものなんかを使いまわしてたりするんですが・・・。
 映画、読書と遊んでばかりいる羊の人でした。

投稿: かまねこ | 2012年10月15日 (月) 07時55分

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