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直球勝負 「社会を変えるには」

 今週は小熊英二さんの「社会を変えるには」です。直球勝負ストラ~イク!!といったタイトルですが、ちょっとこれはすごいです。小熊さんの本はたいがい厚くて、読み応えがあるのですが、これはこれまででも一番といってもいい力作です。新書なのに、500ページもあります。そして、非常に説得力があり、現在の日本がどうしてこうなってしまったのか(否定的な言い方ですが)ということがよくわかります。まず最初に、日本が今どんなところにいるのかと言うことをざっと概観し、そのあと、戦後の社会運動の変遷を丁寧になぞります。そして、そうなってしまった思想的な背景を、西欧の哲学理論を追うことで詳しく説明をします。もちろん理論の本当の意味はこうこうだが、日本はそれのどの部分をどのような考えのもとで取り入れてきたか、というようなところまで言及しています。

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そのうえで、いよいよ本題の「社会を変えるには」という命題に取り組む訳です。これまでの社会運動の状況、思想の移り変わり、それらを踏まえて、新しい社会運動の理論や分析方法を提案しています。資源動員論とその限界、イノベーター理論によるマーケティングからの接近、フレーミングを使った問題の捉え直し、モラルエコノミー、そしてアプロプリエーションなどの運動理論にも触れます。

そうした上で、反原発の運動を肯定的に検証しています。ここらあたり、小熊さんが反原発運動に積極的に参加しているので、ちょっと詰めが甘い理論展開になっています。反原発デモを肯定するがゆえに、かなり大きな取り扱いになってしまっています。ここが惜しいところです。しかし、全体的にとにかく文献をよく読んでいいるし、難解な哲学理論もきちんと消化して、噛み砕いてくれています。この辺はさすがです。ベックの「リスク社会」や、ギデンズの「再帰性」などよ~くわかりました。

 さて、そこでです。小熊さんは日本が特殊な、いわゆる日本型工業化社会(=政府や企業におまかせで政治に無関心で消費だけやっていればよかった社会)から、普通の先進国になると言っています。それは自分で考えて、自分で行動しなければいけない社会です。そうなった時に、ポピュリズムに流されるか?市民参加や社会運動という形で関わっていくか?それが分かれ目になるといいます。そして、市民参加型の社会を作ろうというのを支援しているのは間違いないようです。もちろんそのために、行動をしているわけですが・・・。

 

 そういった結論めいたものを匂わして、論を閉じているのですが、どうもそのあたりに詰めの甘さが漂います。それは、かなりの数の日本人が、物事の本質をわかっているというような前提条件を立てているように感じたからです。それは、楽観的すぎるのではないかい。思わずそう言いたいです。筆者としては、僭主が現れることを恐れているのですが、やはりその気配がしている(大阪の橋本市長ですね)ことに対しても、この前提条件は危うい。

 もちろん、官邸前でデモをしている人たちには届くでしょうが、そうでない人、橋本さんに一票を入れてしまうような人をどうしていくのか。そのへんが甘いですね。そんなんこと言っても、どうすれば甘くないのかなんて、私にもわかりませんが・・・。

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