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「キリマンジャロの雪」 価値観の違いを痛感する映画

 ヘミングウェイの小説のような題名ですが、ほぼ関係ありません。お話はフランスでのこと。どうも不況のようです。造船所(かな)の工員さんたちが、抽選でリストラされていく場面がオープニング。このあたり、日本の地方の疲弊を描いた映画なんかと重なります。犯罪も絡むので、全体に、「悪人」とか「サウダーヂ」の匂いがしています。

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 そんな中、主人公の労組委員長とその妻の夫婦愛のようなものが、きっちり描かれていきます。もちろん、委員長の同僚だった失業者が、委員長の家に強盗に入るのですが、そのあたりの背景や、時代の移り変わりのようなものも、描き込まれます。

 字幕では「小市民」と出ていましたが、「ブルジョワ」と言ってたと思います。この言葉がひとつのキーワードです。自分たち夫婦が、傍から見たら、すっかり「ブルジョワ」になってしまっていること。この初老の夫婦が若い頃には、それでも将来に対する希望があったのだけれど、時代はもっと切羽詰ってしまった。それを代弁してるのが、強盗をする若い元同僚です。フランスも日本と同様、グローバリズムに侵されてるんだなと、妙に納得。

 そんな中、その強盗の同僚には、腹違いの弟が二人いて、父は行方不明、母は、身勝手みたいな背景も出てきます。結局、初老の夫婦が、投獄された兄に変わって弟たちの面倒を見ることになるのですが、その偽善めいた行動の中に、さりげなく、夫婦愛を織り込んでいくところが、この映画のかんどころで、非常にうまいところです。

 まあ、振り返って、日本では、こんなふうに夫婦のあいだで、育んでいけてるものがあるのか?そこが価値観の違いを痛感した場面でした。それらしく見えてる夫婦もいないことはないですが、圧倒的に個人の自立度が違っていて、どちらかというと共依存のような関係になっている。

 その原因は、日本の、この過剰な豊かさではないのかな・・・と。心が付いてきていない、一億総成金のような気持ちの持ちようになってるような気がします。

 ヨーロッパは、やはり質素な感じがします。生活が、地に足がついている範囲で営まれているようで・・・。10数年前に、ハンガリー、オーストリア、ドイツ、スイス、オランダ、フランスと放浪した時にも感じましたが・・・。

 そんなことを、考えながら、観てきました。

 いい作品です。

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。

投稿: 投資の入門 | 2013年3月28日 (木) 11時04分

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