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正月からこんな映画・・・てか!? 「カミハテ商店」

 「ベンベンベン ジャカジャカジャカジャン ベンベンベン ジャカジャカジャカジャン」琵琶法師が奏でているような、暗い感じのテーマ曲が、頭から離れません。正月から自殺の映画です。

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 高橋恵子が老けメイクで、やる気のない初老の女に挑戦(?)しています。その上、なんか知らねどコッペパンを焼いてるんですね。場所は山陰の町とは隔絶したような小さな漁港。ここで、主人公の老女(ちと無理があるかな)が、おんぼろの商店を営んで(?:といってもお客は来ていないみたいに見える)います。母親譲りのコッペパンを焼いてるのです。

 で、いつしかその漁港のそばの断崖が自殺の名所となり、自殺者がぼちぼち訪れるようになり、この商店のコッペパンと牛乳を買って、死ぬ間際の「最後の晩餐」にすることがネット上で広がっていきます。

 それで、この漁港には、町からバスが通じているのですが、これがクネクネとした海岸沿い(といっても山越え)の道を、かなり長時間かけて、カミハテ(「上終」と書く)まで走るのです。

 まあ、この老女は自殺者を止めるとか、そういうことは一切しないんですね。代わりに、断崖に飛び込む時に揃えてある靴と、飲み終えた牛乳瓶を、翌朝回収しに、断崖まで行くんですね。なぜ、そんなことをするのかということは、映画の中でだんだん明らかにされていきます。一回だけ、子連れの自殺志願者を警察に通報するのですが、保護されて、警察から家族に渡されるその時に、電車(だと思う)に飛び込んで、結局自殺してしまいます。全編救いがないんです。まあ、キャッチコピーが「死にたい人は・・・・死ねばいい」ですからね。

 「自殺」に対して、価値観云々はとりあえず置いといて、観る必要があるかもしれません。

 私は、この映画、自殺自体を描いてはいるのですが、なんだかこのカミハテという地区が、あの世とこの世の境のような、そんなメタファーを感じました。この世の「町」から、あの世の入り口のカミハテまでバスが運んでくれる・・・みたいな。

 一種の寓話ですね。

 カミハテ商店は、地獄の門で、高橋恵子はその門番のようで・・・・。あのけだるさや居心地の悪さは、そうとでも思わないと、いられない感じですね。

 もうひとつの「おくりびと」のように、まあ、裏のおくりびとですが・・・。

 そして、町とカミハテの距離が、どうみても長い。比喩的ではあるのですが、長い。ここを超えてこないと、(東京からとかだと本当に長い)自殺は遂げられなかったりする。自殺なんてどこでしてもいいのですが、カミハテが記号として、目的地として、立ち現れてくるような、そんな感じです。

 その距離や時間はなんなんだろう・・・・と、ちょっと考えてしまったわけです。

 しばらく残りそうな映画でした。

 

  

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