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2013年2月

恋愛小説の傑作 「最終目的地」 

 ホン・サンスの恋愛映画のあとは、恋愛小説・・・? でも、なかなか素晴らしい小説に出会ってしまったのでご紹介します。作者は、アメリカの作家、ピーター・キャメロンです。

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 たぶん、翻訳がすごくうまいんだろうなあって思いましたね。原文読んでないし、その良さもわかるってわけではないのですが・・・。

 原文を読んでいる訳者が、解説で、その繊細な文章力が特筆すべきこととして、書いていますが、訳文としての日本語を読んで、それがなにげに感じられる、そんな文章になっています。名訳です。特に終盤、ラストにかけての描写で一気に盛り上がる、それぞれの人生にとって、「最終目的地」とはどこだったのか? それが明かされていく場面など秀逸です。

 話はとある、一部で有名な作家の周辺にいた人達が、作家の没後(自殺)、その居宅で共同生活を送っているいうところから、始まります。その、なんだか不思議ではありますが、穏やかな暮らしの中に、その作家の研究者で、伝記を書きたいという若者が訪れ、その静逸な暮らしが揺さぶられていくというものです。

 そこに暮らしているのは、作家の兄、兄のパートナー(男性)、作家の妻とその子供、それに作家の恋人(愛人かな)。場所はウルグアイの田舎。登場人物の出身国は、フランス、イラン、タイと賑やかです。が、あまりこれがストーリーには関係なかったりする。

 その若い、文学研究者が引き起こす波紋が、それぞれの生活に微妙な変化を及ぼし、大きく変えてしまうという流れです。

 それは、別れをうみ、出会いを演出し、展開はドラマティックです。「最終目的地」はそれぞれの登場人物によって、僅かに違っていき、ニアミスもあるのだけれど、設定された性格によって、一貫してると思わせる対応となっていきます。

 ラストに近いシーンでは、まだ、恋愛小説というのが存在感を持ってるなぁ・・・と少々ロマンティックな気持ちにさせてくれるんですね。そう、なかなか感傷的でさえあります。そのうえ、登場人物のひとりが、その恋愛の解説者めいた語りをするのですから、そうとう凝っています。

 恋愛・文芸路線を突っ走る本作ですが、間違いなく傑作です。

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諏訪 まちなか案内人

 先日、いろいろなつながりの中で、諏訪の「まちなか案内人」の事務所を訪ねました。場所は商工会館の1階、なかなかわかりづらいところです。

 いらしたのは、事務局の藤森さんとメンバーの皆さん。結構長い時間、お話してきました。すごく気さくな方たちで、面白かったぁ~。

 ガイドは大手旅行会社の依頼も受けて仕事的にやっておられるので、学ぶところは多いです。一番すごいのは、ガイドの時間を厳守するというところ。旅行会社から到着から出発まで50分とか言われて、諏訪大社をきちんとその時間で案内するので旅行会社から信頼されているそうです。ここら辺のプロ意識はすごかったです

 諏訪のガイブックを一緒につくる提案をしてきたのですが、その中で、
①私たちのグループ「まちミュー諏訪」は
・その土地に住むそこを愛している人がその土地を紹介したくてガイドブックをつくるというスタンスみたいに見える。
②「まちなか」は 
・とにかく人前で話して、ガイドしたいというのが一番。ガイドブックやマップはその際にお客さんに満足してもらうための道具にすぎない。

 なので、一緒にやるのはやぶさかではないが、出てくるものが違ってくるのではないかと思う。なので、前向きに検討はするが、慎重に考えざるを得ない。

 という非常にクレバーなご意見を頂いてきました。短い時間でしたが有意義な歓談になりました。

 「まちなか案内人」が出されているガイドマップです。

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元気づくり支援金のヒアリング

 ちょっと前の話ですが、来年度の元気づくり支援金のヒアリングがありました。来年度は、私が事務局をしている「まちミュー諏訪」で1件、仲間として加わっている「御射里の会」で1件の申請をします。

 御射里の会は、地域のおじさんたちがヒアリングに応じていますが、まちミュー諏訪の方は、私と岡谷のスタッフが応じました。

 ここで問題が・・・(汗)。来年度から加わってくれる、辰野町の仲間なんですが、辰野町は上伊那地方事務所の管轄とのことで、上伊那事務所にその分だけ分けて申請し、ヒアリングも別に上伊那で行うということになってしまったのです。

 説明会にきちんと出ていなかった私が悪いのですが、やや面倒なこと。それでも、辰野町の職員の方(まちづくり推進課)にもご迷惑をかけることになり、少し恐縮。しかし、その方と知り合いになれるわけだと、思い直して、3月1日に伊那市まで行ってきます。

 話の中で、仲間に加わる小野は塩尻と辰野にまたがってるんじゃないか・・・なんて話も出たので、ヒヤヒヤでしたが、さすがにこっちの方は、あまりにも理不尽ということで、諏訪地方事務所と上伊那地方事務所とで、調整してくださいました。なかなか難しい。でもこの程度でよかったというのが本音です。

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小さないのち・・・何のために生まれてくるんだろう

 今日は、ちょっと悲しい話題です。2番目の出産がありました。また双子だったんですが、お母さんは子育て上手な上田号(上田から来たので)。1頭は、すぐお乳に吸い付いて、いい感じでした。もう1頭は、なかなか吸い付けません。で、何度か近くまで口を持って行ったりしたのですが、どうもお乳が吸えていません。

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 仕方ないので、人口哺乳をしてみました。1日目はそれでもなんとか哺乳瓶からいきよいよく飲んでましたが、2日目になると、なんだか吸わない。そこで、胃チューブを使って飲ませます。だけれど、だんだん元気もなくなってくる。

 口になかに指を突っ込むと、どうも体温が低く、低体温症の症状。慌ててお風呂に入れたり、ミルクを与えたり・・・。お風呂はこんな感じでバケツで入れます。

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 そんな介護もむなしく、3日目に静かになくなりました。毎年1~2頭は、こういうふうに弱いんですね。私も、1日のいのちを3日にするぐらいのことしかできません。

 彼らは、なぜ生まれてくるんだろう? たった3日で死んでしまうために、生まれてくる。何とも哲学的な問いになってしまうんだけれど、それはとても切ない問い。

 僕らも、こんな社会の中で、特に目立ちもせず、黙々と生きて死んでいく。中には、なんの希望も見いだせないような人もいる。「何のために生まれてくるんだろう」という問いが、重くのしかかります。

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ホン・サンス 恋愛に関する4つの考察その2

 はい、3番目の映画は、「教授とわたし、そして映画」です。これは、三角関係のもつれと言うほどではないけれど、それなりにぐちゃぐちゃした恋愛関係をモチーフに、映画学科という特異な環境を設定し、描いていきます。

 前半、男視点で、「女ってこうだろ」みたいな描き方をしてあって、このままいったら、どうしようもない感じだな・・・駄作かぁ?と思っていました。10数年前の教授と教え子の関係、そしてこれは、その時の当事者のひとりが、10数年後、教授(講師くらいかな)になって、同じことを繰りかえすという、入れ子の関係にもなっています。

 で、ですね、ラストの10分くらいで、 その過去の三角関係を、渦中にある女の視点で見たらどうなのか、というものが、その女子学生が作った映画として、紹介されます。これがねえ、秀逸なんですね。しょうもない展開に、ちょっと眠くなっていたのですが、こう頭殴られたように、見事に逆の視点として、逆というより、真実の視点といったほうがいいかな、成り立っているんですね。もう、素晴らしいの一言につきます。

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 もう一点が、「次の朝は他人」。これは題名通りの、男の身勝手さを延々と描く映画です。昼間「多情」というレストラン(この店名笑っちゃいますが)で飯を喰い、そのまま夜は「小説」というバーで酒を飲んでるだけの映画です。多情と小説、もうこれだけでいいですよね。

 主人公は、映画監督で、まあ行き詰まって、ソウルから田舎に引っ込んでいる。久しぶりに上京して、昔の恋人にあったり、バーのママに恋をして、一夜を共にしたりする。昔の恋人に対する態度もだらしないし、自分勝手、自己本位、そんなものオンパレード。バーのママに対しても、都合の良い女的な扱いしかしない。それでも、なんだか魅力的な映画になってるんですよ。ここが不思議。人間なんてこんなもんさ。人生なんてこんなもんさ。

 限られた一部の「イケてる」人をのぞいたら、こんなもんなんだから、まあ人生の真実を描いてるといえば、そうに違いないのだから・・・。

 ホン・サンスという監督、これからも目が離せないかも。

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セラ真澄の古本市

 先日ご紹介した、真澄のギャラリー、セラ真澄で古本市があり、見てきました。

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 こんな感じで、8つ(だったかな)の古本屋さんが、島のようにお店を出して、窓際のスペースには、ちょっとした料理が並べられ、もちろん真澄のいろいろなお酒が飲み放題、といったイベントです。

 本は、食に関するものをメインにといった感じだったので、わりと似通った本が集まってしまったという感じです。まあ、でも、ディスプレイのおしゃれな感じは良かったし、捨て目(骨董の用語です:自分が探している本以外の掘り出し物を見逃さないということ)をきかせて見て歩くのも楽しかったです。

 ただ、食のスペースが、立食形式の感じで、私なんぞはあまり慣れていないのと、苦手意識もあって、若干居心地が悪かったかな。

 最近の若い方はこう言うのに慣れてるから、良かったのでは・・・。それと、富士見図書館で一箱古本市の催しが企画されそうなのだけれど、行政的な感覚と、私たちの感覚、それにこういったおしゃれな感覚、全部どこかにあるようでないと、うまくはいかないかも・・・と思いました。

 出店されてたお店の中に、富士見にゆかりのある方もおり、ちょっとお話もしてきたので、彼女(女性です)たちがそういうものを、持ち込んでくれるんじゃないか・・・そう期待してしまったということです。

 でもね、なかなか楽しかったし、人も来ていたよ。

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恋愛映画も面白い ホン・サンス 恋愛についての4つの考察 その1

 ホン・サンスという監督さん、韓国のロメールとか言われているらしいという、噂は聞いていたのですが、観る機会もなく、まとめて見る羽目になりました。

 「4つの考察」なんて言われると「レネットとミラベル 4つの冒険」とか「6つの教訓」シリーズを即座に思い出し、ロメールファンへのアピールしすぎでしょ・・・とまゆをひそめた私ですが、丸一日映画三昧、それもかなり充実した内容の、面白い映画だったので、満足して帰ってきました。

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 まずは、「よく知りもしないで」。もう登場人物が、立ち位置が危うい人ばかりで、ヒヤヒヤしながら、観る感じ。「よく知りもしないで」という言葉が、劇中2回発せられるのですが、主人公が発した言葉がブーメランのようにそのまま本人に帰ってくるんですね。このあたりの構成が秀逸。

 物語は、行き詰まっている雰囲気の、芸術家タイプの映画監督が、その女好きの性癖のために、様々なトラブルを引き起こすという、ちょっとラブコメ風の(といっても恋愛の本質ってなんだろう、人はなぜそれに惹かれるのだろうみたいなものが深く掘り下げられている)展開です。その監督がパンツ一丁で、先輩の奥さん(元恋人)のベッドからしょっぴかれる、間男描写なんかもあります。

 まあ、いっぺんでこのホン監督の作風に引き込まれました。映画を観ながら、恋愛の本質は・・・なんて考えてると、「人生が退屈だから」みたいな肩すかしを食らわせるし、人が待ち合わせに遅れる理由は「途中でパンを買っていたから」しかなかったり、なかなか洒落ています。

 恋愛って、社会的な課題とかそういうものから見れば、どうでもいいことなんだけど、みんな結構振り回されてますもんね。だらだらとした会話や展開、だらしない男たち、すぐ怒る女たち。

 登場人物は「緑の光線」のわがまま女のような性格だし、展開はぐちゃぐちゃしてて「海辺のポーリーヌ」みたいだし、まあ、ロメールのひとつの本質はフェティシズムなので、そこからはちょっと離れているけど、ロメールって言われればあ、そうだよなぁ・・・って程度には、似ています。

 そうそう、ひとつの舞台になってる済州島の風景は、フランス地中海沿岸って言われれば、通っちゃうかな。

 もうひとつ、「ハハハ」。これは抜群に面白かった。アイディア豊富にうまく作ってある。7人の男女が絡む恋愛群像劇なおかつニアミスとすれ違いが主構造という、オーソドックスな恋愛ドラマの体裁をとってます。あるひとりの人物が接点で、そこを中心に物語は進むのだけれど、みんなすれ違っている。最後まで、すれ違ったままで、真相みたいなものは、映画を観ているものにしかわからない。そしてその真相は、映画のテーマには全く関係がない。もちろん登場人物の一人に映画監督が出てきて、それなりの映画論も語ります。そこでは、映画のテーマなんてあとから評論家等によって付けられたもので、意味はない、なんて言ってます。ほかの3作品の中でも、どこかでこのことはほのめかされていますが・・・。

 そして、一人だけ、すべてを知ってしまう人物は、知ったとたんに画面上から消えていく。これ、映画好きの人には、たまらない、いい映画かな。

 残りの2作品は、また日を改めて・・・。

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としょかんだいすき リニューアル

 2年程度発行し続けてる「としょかんだいすき」ですが、A4と大判なことと、図書館以外にも置くところを増やしたいという事が有り、大幅にリニューアルすることにしました。

 大きさを、A5版にして、分量も少なく、レイアウトを工夫してみました。このくらいにしないと、なかなか図書館以外にはおいてもらえそうにないので・・・。

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 やっぱり、時代はおしゃれな方向っていうのも考えないと、いろんなものが難しくなってきているようです。そっちばっかりじゃダメだと思うけれど・・・。このことっていろいろ考えさせられます。難しいことは考えないで、見た目よければそれでいいみたいな傾向や風潮には、危機感を覚えますが・・・。

 新しい「としょかんだいすき」 ぜひ、手にとって、ものごとを深く考えるってことを、思い出してください。

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渾身の一作 「この国はどこで間違えたのか」

う~ん、こういう視点があったかと、とりあえずは、感心した。沖縄タイムスという地方紙に、「非常識なボリューム」(ママ)で、掲載された、ロングインタビュー集である。話題の中心は、フクシマの原発事故なのだが、沖縄の基地とフクシマの高濃度汚染地区というのが、国策による同種の立ち入り禁止区域であるというところから、連帯的に批判出来うるという視点で、構成されている。読み進めるうちに、まさにその通りであることが次第に明確になるという仕組みだ。

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登場するのは、内田樹、小熊英二、開沼博、佐藤栄佐久、佐野眞一、清水修二、広井良典、辺見庸とそうそうたるメンツである。テレビでおなじみの評論家というのではなく、流行に流されず、ブレない言説の論客たちだ。この選択眼にも感心させられる。インタビュアーは沖縄タイムスの論説委員である、渡辺豪という方である。話の引き出し方も非常にうまい。 

なかでも、秀逸だったのが、開沼博だ。「フクシマ論」でその分析力の鋭さに驚かされたが、今回のインタビューでも、冴えを見せる。「貧しいところに無理やり原発を押し付けた」のではなく、「先進国たる日本においては、どの地域も発展しなければならない」という理念のもとに、「どう頑張っても駄目だ」という先天的な条件の地域で、その理想を実現しようとした。推進派の中にも善意があったという見方だ。その理想と現実との間にものすごい齟齬が起きている場所に、原発なり基地なりが巧みに滑り込んでいるという。そして、「過疎」に対する過剰なまでの意識が拍車をかけていく。もちろん、東日本大震災の復興にも、その意識は影を落とす。復興をどこまでするのか?もとのような過疎の地域に戻せばいいのか?あるいは、それより以前の、生産地として華やかだった頃にまで戻すのか?いずれにせよ、コストが非常にかかる仕事ということだ。

そんな中、開沼は、「過疎化しても幸せになれる」「地域活性化しなくてもいい」というモデルを立てていくことが重要であると言っている。その通りだと思う。民主主義的な手法で自らがいい形で、威勢よく「地域活性化」とも言わずに、うまく縮小していく方向を探るモデル立てられるかという問いである。

自然エネルギーに対しても釘を刺す。原発が風力や太陽光にかわったとしても、結局、自然エネルギー推進派の御用学者が出てきて、「その事故は確率的に非常に低い」と言い放ち、役人は「地域振興には必要だ」と説得し、メーカーは「いずれ技術的に改善され、経済的なメリットからは些細なことだ」と切り捨てるだろう。もちろん放射能のような取り返しのつかないものではないが、原発の推進と全く同じ構造であることは変わりなく、そこには国民は不在である。

他の論客も頑張っており、今、必読の書であると思う。 

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ふじみ公民館報 全国コンクール3回目の受賞!!

 ブログ管理人は富士見町の公民館報の編集に関わっているのですが、この度、全国コンクールで3回目の、優良賞を受賞しました。4年前からチャレンジしていて、1回目は優秀賞(2番目)、2回目3回目は優良賞(3番目)という成績です。それでも全国ですから、励みになりますね。

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 こんな感じで、新聞取材も受けました。

 実は、この公民館報ですが、ステップアップゼミでずっと取り組んでいる、「地元学」の考えを大幅に紙面に展開しているのです。地元学の考え方を、町内全域に紹介するために、公民館報を利用しているような、そんな感覚ですね。

 とは言っても、公共の紙面ですので、それが許す限りという感じですが、意外に好評だと思います。

 ちなみに、今年度の特集のテーマをランダムに上げてみると、「なるには教育」(図書館主催のもの)、「学校図書館(富士見高校)」、「甲州道中~東から西へ~」、「集落の水はどこから来るの」、「畑はおらとうのオープンガーデン」、「働く車がやってきた(図書館主催)」、「富士見町 こんなに研究されてます」、「区史を作ろうよ」、「ふじみ分水の森」、「コミュニティカフェで茶(ちゃあ)でものまざあ」、と題名を見ただけで、そのバラエティに富んでることがわかるのでは・・・。

 さあ、これを励みに頑張らねば。

 

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