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恋愛小説の傑作 「最終目的地」 

 ホン・サンスの恋愛映画のあとは、恋愛小説・・・? でも、なかなか素晴らしい小説に出会ってしまったのでご紹介します。作者は、アメリカの作家、ピーター・キャメロンです。

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 たぶん、翻訳がすごくうまいんだろうなあって思いましたね。原文読んでないし、その良さもわかるってわけではないのですが・・・。

 原文を読んでいる訳者が、解説で、その繊細な文章力が特筆すべきこととして、書いていますが、訳文としての日本語を読んで、それがなにげに感じられる、そんな文章になっています。名訳です。特に終盤、ラストにかけての描写で一気に盛り上がる、それぞれの人生にとって、「最終目的地」とはどこだったのか? それが明かされていく場面など秀逸です。

 話はとある、一部で有名な作家の周辺にいた人達が、作家の没後(自殺)、その居宅で共同生活を送っているいうところから、始まります。その、なんだか不思議ではありますが、穏やかな暮らしの中に、その作家の研究者で、伝記を書きたいという若者が訪れ、その静逸な暮らしが揺さぶられていくというものです。

 そこに暮らしているのは、作家の兄、兄のパートナー(男性)、作家の妻とその子供、それに作家の恋人(愛人かな)。場所はウルグアイの田舎。登場人物の出身国は、フランス、イラン、タイと賑やかです。が、あまりこれがストーリーには関係なかったりする。

 その若い、文学研究者が引き起こす波紋が、それぞれの生活に微妙な変化を及ぼし、大きく変えてしまうという流れです。

 それは、別れをうみ、出会いを演出し、展開はドラマティックです。「最終目的地」はそれぞれの登場人物によって、僅かに違っていき、ニアミスもあるのだけれど、設定された性格によって、一貫してると思わせる対応となっていきます。

 ラストに近いシーンでは、まだ、恋愛小説というのが存在感を持ってるなぁ・・・と少々ロマンティックな気持ちにさせてくれるんですね。そう、なかなか感傷的でさえあります。そのうえ、登場人物のひとりが、その恋愛の解説者めいた語りをするのですから、そうとう凝っています。

 恋愛・文芸路線を突っ走る本作ですが、間違いなく傑作です。

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