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恋愛映画も面白い ホン・サンス 恋愛についての4つの考察 その1

 ホン・サンスという監督さん、韓国のロメールとか言われているらしいという、噂は聞いていたのですが、観る機会もなく、まとめて見る羽目になりました。

 「4つの考察」なんて言われると「レネットとミラベル 4つの冒険」とか「6つの教訓」シリーズを即座に思い出し、ロメールファンへのアピールしすぎでしょ・・・とまゆをひそめた私ですが、丸一日映画三昧、それもかなり充実した内容の、面白い映画だったので、満足して帰ってきました。

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 まずは、「よく知りもしないで」。もう登場人物が、立ち位置が危うい人ばかりで、ヒヤヒヤしながら、観る感じ。「よく知りもしないで」という言葉が、劇中2回発せられるのですが、主人公が発した言葉がブーメランのようにそのまま本人に帰ってくるんですね。このあたりの構成が秀逸。

 物語は、行き詰まっている雰囲気の、芸術家タイプの映画監督が、その女好きの性癖のために、様々なトラブルを引き起こすという、ちょっとラブコメ風の(といっても恋愛の本質ってなんだろう、人はなぜそれに惹かれるのだろうみたいなものが深く掘り下げられている)展開です。その監督がパンツ一丁で、先輩の奥さん(元恋人)のベッドからしょっぴかれる、間男描写なんかもあります。

 まあ、いっぺんでこのホン監督の作風に引き込まれました。映画を観ながら、恋愛の本質は・・・なんて考えてると、「人生が退屈だから」みたいな肩すかしを食らわせるし、人が待ち合わせに遅れる理由は「途中でパンを買っていたから」しかなかったり、なかなか洒落ています。

 恋愛って、社会的な課題とかそういうものから見れば、どうでもいいことなんだけど、みんな結構振り回されてますもんね。だらだらとした会話や展開、だらしない男たち、すぐ怒る女たち。

 登場人物は「緑の光線」のわがまま女のような性格だし、展開はぐちゃぐちゃしてて「海辺のポーリーヌ」みたいだし、まあ、ロメールのひとつの本質はフェティシズムなので、そこからはちょっと離れているけど、ロメールって言われればあ、そうだよなぁ・・・って程度には、似ています。

 そうそう、ひとつの舞台になってる済州島の風景は、フランス地中海沿岸って言われれば、通っちゃうかな。

 もうひとつ、「ハハハ」。これは抜群に面白かった。アイディア豊富にうまく作ってある。7人の男女が絡む恋愛群像劇なおかつニアミスとすれ違いが主構造という、オーソドックスな恋愛ドラマの体裁をとってます。あるひとりの人物が接点で、そこを中心に物語は進むのだけれど、みんなすれ違っている。最後まで、すれ違ったままで、真相みたいなものは、映画を観ているものにしかわからない。そしてその真相は、映画のテーマには全く関係がない。もちろん登場人物の一人に映画監督が出てきて、それなりの映画論も語ります。そこでは、映画のテーマなんてあとから評論家等によって付けられたもので、意味はない、なんて言ってます。ほかの3作品の中でも、どこかでこのことはほのめかされていますが・・・。

 そして、一人だけ、すべてを知ってしまう人物は、知ったとたんに画面上から消えていく。これ、映画好きの人には、たまらない、いい映画かな。

 残りの2作品は、また日を改めて・・・。

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