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2013年5月

「北の無人駅から」

 このところ、素晴らしい本に出会うことが多いんですが、これもそんな本でした。

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 舞台は全て北海道。「無人駅から」というタイトルから、鉄ちゃん向けのマニアックな本なのかな・・・とも思いましたが、実際は、北海道という地域が抱える、「地方」としてのあがきみたいなものを、的確に描いた、力作になっています。それぞれのテーマのようなもので、取材を勧めていて、高齢化の問題、さびれていく地方都市の問題、漁業の抱える複雑な構造、こんなものを通し、北海道というものを、僕らの前にあらわにしてくれます。

 当たり障りのない、美味しい食べ物、雄大な自然、などというロマンあふれる北海道はそこにはありません。たぶん、本州より深刻な、地方の問題を抱えており、それがほかに先駆けて、先鋭化しているように思いました。これは私が個人的に感じたものなのですが、5年ほど前に札幌周辺へヒツジの視察を兼ねて観光に出かけたことがありました。その時に、千歳空港で、本州からの観光客に対する、おみやげ店の客引きのようなものがものすごく、いや~~、こういうの植民地って言うんじゃないのと、感じたことがありました。そういう地方の嫌なところが、先鋭的に出ているとそんな風に感じていました。なので、この本も、よ~~く理解できたのでした。

 まあ、ニシンは特殊ですが、留萌と増毛、それに雄冬・・・ブームによって観光客が増えたり、減ったり。これって観光業に携わる場合、生活に直結するわけです。

 駅から入っているので、鉄道の盛衰と、その駅がある場所の盛衰。産業とか雇用とかそういうものとは、縁のないような村の合併騒動。釧路湿原の観光と自然保護との関係。そして増えすぎたエゾシカ、増えて欲しい丹頂鶴。様々な矛盾と、そんなものがあっても生きていかねばならない、人々の淡々とした生活を、丹念に追っていて、800ページという大著なんですが、一気に読んでしまいました。なお、この本、2012年のサントリー学芸賞を受けています。

 

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「あぶらげ巻き」と「つと豆腐」 その3 レシピです

 お待ちかねのレシピです。味について一言。「つつ豆腐」は、厚揚げの煮物っぽくて、さらに身がしまったか感じでした。「あぶらげ巻き」は、具入りの生麩のような感じです。どちらも、濃い味で、ご飯が進みそうです。

「つつ豆腐」

 豆腐 一丁(1kg)

 稲わら 適宜

 練り辛子

 調味液  だし汁  3カップ

       しょうゆ 1カップ

       砂糖   2/3カップ

       塩    小さじ 1/2

        みりん  大さじ 1

 「あぶらげ巻き」

 あぶらげ  1枚(大きなもの)

 にんじん  50g

 かんぴょう 50cm

 しょうゆ 大さじ2

 砂糖   大さじ2

 みりん 大さじ1

 ※分量はこうありますが、「あぶらげ巻き」を煮たしるで、つつ豆腐を煮てもいい。 

 いずれも、「諏訪盆地の味」という冊子から。

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「あぶらげ巻き」と「つと豆腐」 その2

 次は、「つと豆腐」。「わら豆腐」とか「つつ豆腐」とかもいうそうです。

 まずは豆腐。このあたりでは、両国屋さんでしか売っていないビッグサイズ。が、これが昔の一丁です(約1キロ)。今の豆腐は半丁だとか。水をきってあった豆腐を4つに細長く切って、

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 わらでくるみます。形の整った、綺麗なわらを去年から用意したそうです。

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 黄色いビニール紐なのか物悲しいところですが、これをよく縛ります。

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 そして、納豆状にしたこの「つと」を大きな鍋に入れて、1時間ほど強火でゆでます。

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 鍋の中はものすごいアクでした。

 で、煮上がったら、わらから出して、こちらも濃い醤油味でさらに30分ほど煮込みます。

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 で、出来上がりはこんな感じ。形が面白いです。あらかじめ、しっかりゆでてあるので、煮崩れしません。また、最初の“ゆで”は、薪の火力のがいいそうです。

 で、切って盛り付ければ出来上がり。

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「あぶらげ巻き」と「つと豆腐」その1

 先日機会があって、地元に伝わる郷土食を再現するのを取材できました。地域の精進料理「あぶらげ巻き」と「つと豆腐」です。

 今日は、「あぶらげ巻き」の方の紹介です。もともと、お葬式の際に作られる料理ですが、昨今はJA会館などで葬儀を出すようになり、ほとんど作られていません。今回作ってくださった方も、久しぶりでできるかな・・・といった感じでした。

 「あぶらげ巻き」が作られているのは、富士見の御射山神戸あたりから、茅野市の金沢、原村の菖蒲沢あたりのごくごく限られた地域です(立沢や乙事でもやっているという情報もありましたが)。この「あぶらげ巻き」「つと豆腐」「鯉の煮付け」が3種の神器のような感じで、お葬式のときに作られたのです。

 さて、今回は詳細に取材しましたので、作り方から。

 まず材料はこのとおり。

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 左側が「つと豆腐」、右側が「あぶらげ巻き」です。

 レシピはこのシリーズ最後に載せますね。

 まず、あぶらげを湯どおしします。

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 そして、開いて、練った小麦粉を塗りつけます。この時、のりしろのようなところを作るのがこつ。

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 野菜を載せて、

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 ぐるぐる巻きにします。

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 かんぴょうで結んで、

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 出来上がり

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 これを濃い醤油味で、コトコトに煮込みます。

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 これが煮しまったやつ。しょっぱそうで、おかずに最適かも。

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 こうやって、切ると、金太郎飴状態で、綺麗です。

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ルバーブの植え付け

 今年度、再生に取り組む耕作放棄地に、ルバーブを植えることにしました。この田んぼは、昨年半分に赤米を植えた場所。今年は赤米と黒米を植え、残りにルバーブとマコモだけを植えます。1枚なのですが、この田んぼがかなり土質や水はけに偏りがあり、ある部分は水がはけず、ある部分は土地が高く、乾燥して・・・と特性が違います。

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 というわけで、田んぼを真ん中でしきって、向こう側を従来の田んぼに使用し、こちら側の比較的乾く部分にルバーブを植えたわけです。とは言っても、田んぼは田んぼ、一応排水の処置を施し、高うねにしてみました。梅雨時期にどうなるか・・・で成否が決まります。

 いろいろ耕作放棄地対策を、この地域でやってきて、どうにもならない感じの放棄地ばかりになってきています。なので、その土地に合わせた工夫が、だんだん必要になってきているわけです。

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「桃さんのしあわせ」を観て、日本人で良かったと思ったりした

 予告編を見ても、なんだか設定がよくわからなかった。まあ、お手伝いさんなんてものは、日本ではかなり昔にポピュラーなものではなくなっているから、余計だ。どうも香港あたりでは、中国本土から出稼ぎのような形で、住み込みのお手伝いさんがいるというのが、割とあるようだ。勿論それなりにお金持ちの家なんだろうけど・・・。

 そういう、住み込みのお手伝いさんに、まあ小さな頃から育てられた男性と、高齢になったお手伝いさんの話だ。

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 この異国情緒あふれる設定に、介護や住宅事情が絡んできて、なかなか見ごたえのある内容になっている。まあ、香港だからねぇ・・・。介護の沙汰も金次第なんだよね。多分日本よりも更にって感じで。

 で、このお手伝いさんは、ある日脳溢血(だと思う)で倒れてしまう。そして、お手伝いさんをやめ、老人ホームに入るわけだ。まあ、途中、よくなったり、また戻ったりしながら、病状は少しずつ進んでいく。そのお手伝いさんを、まめに訪問し、いわゆる家族による介護のようなことを、この育てられた男性(仕事は映画プロデューサーのような感じ)は、淡々とこなしていくんだよね。まあ、この辺が感動しなさいっていう感じで迫ってくるんだよ。でも、まあ、それなりに感動ものだ。

 表題に、日本人で良かったみたいに書いたけど、まあ、日本だって、そんなに香港と事情が異なるわけじゃないから、身につまされるちゃあ、つまされるんだけど。

 まあ、大きなクライマックスがあるわけじゃない、静かな映画だ。それだけに感動がじわっとくるんだよね。とても、良かったよ。

 で、ひとつ興味深かったのは、香港のお金持ちの住まい。この映画から感じ取れるだけのことで書かせていただくと、香港には土地がないんだよね、きっと。だからお金持ちの家といっても、なんだか狭いマンションのようなものなんだよね。調度に凝ってることは凝ってるんだけど、狭っちいんだよね。まあ、香港ってこんななんだ、と思ったんですね。

 このお手伝いさん、往年のアイドルだった方だとかで、まあ、綺麗だったんだろうなぁという面影はかすかに感じられる。また、なかなか演技もうまかったりして・・・、結構楽しめました。ぜひ観てください。

 

 

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朝鮮別荘のはなし

 先日、甲州街道の取材で、塚平で聞き込みをしていたところ、「朝鮮別荘」なる建物があることを知りました。なんとなく蔑称っぽい感じがしたのですが、さらに聞き込んでみました。

 そうすると、持ち主が朝鮮の偉いさんで、日本で伯爵位をもらった、そう言う人の別荘らしいということがわかってきました。場所は富士見ヶ丘。もともとこの地区は、若宮の人たちの畑や、共有林があった場所です。そして、かの小川平吉が、軽井沢のような別荘地を作ろうとして、“開発”した場所です。なので、当時は広大な敷地を持つ別荘しか建っていなかったとか。

 で、見つけました。もちろん持ち主の方の許可を得て、写真もとってまいりました。

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 私有地ですから、みだりに入ることは×です。私は公民館報の取材ということでお邪魔してきました。屋根は直してありますが、中は床が抜けてるような部屋もあるそうです。

 調べてみると、興味深いことも明らかになってきました。この朝鮮の伯爵というのは、宋秉畯(そうたいしゅん)という名で、李氏朝鮮末期の大臣をしていた方です。日韓併合に非常に功績があり、爵位をもらったとか・・・。なかなか複雑な事情がありそうです。もちろん日韓併合ですから、日本では伯爵でも、韓国では国賊扱いになっています。

 その、宋秉畯のために日本政府が建てたのが、朝鮮別荘と呼ばれるようになったようです。そして肝心な宋氏は一度も富士見の地を踏むことなく、別荘は人手に渡ることになります。2代目の持ち主は前田という方で、別荘は前田別荘と呼ばれました。そして、現在は、前田さんのゆかりの方が持っており、となりに家を建て、住んでおられます。

 今、文献などにあたっていますが、文学と結びついた富士見高原に、なんとなくきな臭いような政治的な香りがしていたのですね・・・。非常に面白いなぁと・・・感心した次第です。続報は後ほど。

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神宮寺ツアー 大成功

 先週の話になりますが、諏訪大社の周辺部にあたる神宮寺の、フットパスツアーを実施しました。山梨のつなぐNPOと共催という形で、約3時間の里歩きです。

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 ちょうど微妙なお天気で、ときどきパラパラときてました。もちろん、先日完成したガイドブックを使用してのツアーです。午前中、博物館を見てもらって、外歩きは、午後からになりました。ガイドは地元(といっても富士見)の小林春人さん。お客さんはみな山梨の方なので、御柱に実際に乗ったことがあるガイド(というより何回も乗っていて、お統合もしている)の案内とあって、歓声もあがっていました。まずは諏訪大社上社から、法華寺(吉良の子孫のお墓)、神宮寺跡、北斗神社と歩き、神長官資料館に。

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 ここで、資料館の館長さんから、いろいろ話を聞いてから、裏道を通って、前宮に参観。本殿に行ったところ、ちょうど夕方のお勤めとかで、神主さんのお祓い(私たちにもしてくれました)も受けたりしました。

 こんな感じで、第2回目のバスツアーは大成功。次はいつかな。

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岡谷 街歩き古本市

 古本片手に岡谷再発見 という謳い文句のもと、笠原書店、イルフ童画館、自然食品のカンビオの3か所の会場で、行われました、古本市。岡谷ではこのところ、コミケや骨董市、そしてこの古本市と、何か面白い動きがたくさん出ています。その一環というわけではないけれど、なかなか見ごたえのある古本市でした。

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 初日が平日だったのですが、結構入ってる。連休中ってこともあるのだろうけど、出版不況ってほんとなのってくらいに、古本人気がありますね。まあ、7~8軒の古本屋さんが参加してたんだけど、それぞれ品揃えが、そこそこ個性的になっていて、なかなか選びごたえがありました。あんまり・・・と思っていたのだけれど、結構散財、一応反省。

 カンビオの会場は写真撮り忘れてしまったのですが、なかなかいい感じの本屋さんが入っていました。「ch.books」(チャンネルブックス)と言う新刊本屋さん、なかなかです。あと、「ひふみよ」という古本屋さんも・・・。両方とも、長野市からの出店。今度いってみようっと。

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 それで、これがイルフの会場。子供向け絵本の展示です。受付の方に聞いたら、「けっこう朝からきてますよ」とのこと。秋もやるような話でしたので、楽しみです。

 秋は一箱古本市がいいなぁ・・・、それなら出店したいかも。

 

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「まちを演出する」~仕掛けとしてのデザイン~

 まちづくりにおける環境演出とは、どういう概念でどういう新しさがあるのかということを、モデルを示して、解説した本だ。まあ、とにかくデザイン、それも、総合的な演出を伴ったデザインを、空間に施していくこと。そしてそれが、事業化に耐えうる運営の仕組みを持っていること。そのあたりを意識して、最終的には、街を有機的にブランディングしていくことで、、その地域が活性化していくということだと言っている。

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 まあ、途中までは、多少鼻につく様な、こういった話が続いている。今、まちづくり等で、若者が集まるような場所には、このデザインと演出があふれている。そして、いわゆるアート系の感覚というか、そういうものもあふれている。これについて、いかがなものかという気持ちをいつも持っていたのだけれど、この「鼻につく」という感じがそうなのだ。

 しかし、この本を最後まで読んで、気がついたのだが(というより書いてあった)、これは一種に都市化の過程なのだなと・・・。だから都会から移住してきたような若者が、それを一種、ひけらかすような、そんな活動になっているのだなと、合点がいったのである。

 そうであれば、やはりそれは、反グローバリズムの立場をとっている私としては、反「都市化」であり、反「生活のデザイン化」であるべきだろう。そのあたりを、きちんと理論的に整理して、再認識させてくれた本書は、間違いなく名著だと思う。

 やはりそうか、おしゃれとかなんとか言って、田舎にまで、ブランディングやマーケティングを持ち込む輩は、都市化、しいてはグローバリズム化の手先であったのだ。

 もちろん、都市は都市で、そうあらねばなるまい。農村地区ではない、地方都市の市街地では、農的な生産基盤を持たないわけで、士農工商で言わせてもらえば、士工商で生計を立てねばならない。それはそれで、仕方ないことであり、勿論正しい方向だ。しかし、農への、こういうものの持ち込みは、自分の首をしめるに等しい行為ではないか。気をつけたいものだと、心から思った次第だ。

 う~~ん、こういう読み方ができるか・・・としばし納得(苦笑)。演出されてたまるかっ!!

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