« 「あぶらげ巻き」と「つと豆腐」 その3 レシピです | トップページ | この静謐さが好きなんだなぁ~「ある海辺の詩人」 »

「北の無人駅から」

 このところ、素晴らしい本に出会うことが多いんですが、これもそんな本でした。

Photo

 舞台は全て北海道。「無人駅から」というタイトルから、鉄ちゃん向けのマニアックな本なのかな・・・とも思いましたが、実際は、北海道という地域が抱える、「地方」としてのあがきみたいなものを、的確に描いた、力作になっています。それぞれのテーマのようなもので、取材を勧めていて、高齢化の問題、さびれていく地方都市の問題、漁業の抱える複雑な構造、こんなものを通し、北海道というものを、僕らの前にあらわにしてくれます。

 当たり障りのない、美味しい食べ物、雄大な自然、などというロマンあふれる北海道はそこにはありません。たぶん、本州より深刻な、地方の問題を抱えており、それがほかに先駆けて、先鋭化しているように思いました。これは私が個人的に感じたものなのですが、5年ほど前に札幌周辺へヒツジの視察を兼ねて観光に出かけたことがありました。その時に、千歳空港で、本州からの観光客に対する、おみやげ店の客引きのようなものがものすごく、いや~~、こういうの植民地って言うんじゃないのと、感じたことがありました。そういう地方の嫌なところが、先鋭的に出ているとそんな風に感じていました。なので、この本も、よ~~く理解できたのでした。

 まあ、ニシンは特殊ですが、留萌と増毛、それに雄冬・・・ブームによって観光客が増えたり、減ったり。これって観光業に携わる場合、生活に直結するわけです。

 駅から入っているので、鉄道の盛衰と、その駅がある場所の盛衰。産業とか雇用とかそういうものとは、縁のないような村の合併騒動。釧路湿原の観光と自然保護との関係。そして増えすぎたエゾシカ、増えて欲しい丹頂鶴。様々な矛盾と、そんなものがあっても生きていかねばならない、人々の淡々とした生活を、丹念に追っていて、800ページという大著なんですが、一気に読んでしまいました。なお、この本、2012年のサントリー学芸賞を受けています。

 

|
|

« 「あぶらげ巻き」と「つと豆腐」 その3 レシピです | トップページ | この静謐さが好きなんだなぁ~「ある海辺の詩人」 »

今週の本棚」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/397928/51808460

この記事へのトラックバック一覧です: 「北の無人駅から」:

« 「あぶらげ巻き」と「つと豆腐」 その3 レシピです | トップページ | この静謐さが好きなんだなぁ~「ある海辺の詩人」 »