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「嘆きのピエタ」 母性という共同幻想

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 ショッキングな韓国映画です。なんといっても、主役の男優の存在感は、ものすごいです。借金取りの役なのですが、返せない相手を、障がい者にしてまで、取り立てていきます。無表情のうちに、相手の手足をつぶしたり、高所から突き落としたりする、その仕事振りも冷酷に描かれます。そうやって、経済成長で、ゆがんでしまっている韓国を生き抜いていきます。

 そこにです、孤児風に描かれているそこに、「母」が現れます。唐突にです。そして、この冷酷な“悪魔のようなあいつ”が、母性という幻想に、思いっきりやられます。なんていうか、とことん無表情だったこの男の口元やまなざしに、やさしさのようなものをほのかに宿らせ、それを演技力で、こなしていく男優が、すばらしいです。そこが一番の観どころですね。

 そして、母性というのが、一種の共同幻想であることが、次第に暴露されていきます。ほんとにそうなんだよね。この母親が実は、復讐のために現れてきたことが、終盤明らかになるのですが、この男はまんまと、この母親の術中にはまるのです。そして、愛に飢えた男は、次第に理性を失い、幻想に振り回され、自分を失っていきます。

 いやいや、なかなかですね。この監督さん、有名らしいのですが、さすがです。欧米のキリスト教の絡みから、この一種の贖罪物語を生み出してしまうんだから。あっという間の2時間でした。面白いというのとは一味違った、重た~~いサスペンス仕立てになっております。

 途中、この偽りの母親が誘拐されるような狂言を仕掛けるのですが、そのときに今まで虐げてきた、「客」のところを巡礼のように回るのです。その巡礼をしていく中で、自分がその人たちに何をしてきたかということを思い知ります。そして凄惨な、そしてある意味静謐な、ラストの場面につながるのです。なんとも深く深く考えさせる、しごく上等な映画でありました。
 まあ、こりゃあちこちで上映できないよなぁ。名古屋千種の怪しいマニアックな単館(名古屋シネマティーク)で観ましたよ。

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