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圧倒的な検証と恐ろしい結末と・・・デヴィット・ハリソン「滅びゆく言語を話す最後の人々」

 

 本の題名が中身をちゃんとあらわしている、著者渾身の非常にすばらしい本です。世界には隣同士の地域でさえ、まったく体系の違った言語というのが存在している場所がたくさんあります。。まったく言葉が通じないということです。総数で、4000もの言語が存在するということらしい。そういった言語一つ一つがその民族(というには規模が小さなものだが、しかし厳然たる民族なのです)の特有の世界観をあらわしている。そういった多様性がかつて世界にはあったわけです。ひとつは英語というもの、またひとつは技術の進歩による『移動』という概念の革命的な進展、こういった要素でその言語がドンドン破壊され、背景にあった民族の文化が失われていくわけです。

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 でもまだ、かすかに残っている。それを全世界をまたにかけて追ったのがこの本なのです。ひとつ、例をあげると、シベリアのトファ族の言葉は、彼らが飼っているトナカイのことを示す言葉を、非常にたくさんもっています。そのひとつ、「トゥーングル」という言葉は、「家畜化し、人を乗せられる、去勢されていない3才の雄トナカイのうち、初めての交尾期を迎えたが、まだ交尾の準備が整っていないトナカイ」という意味があります。自分たちの身近の動物の状態を事細かに分類した言葉が、何十種類も存在するわけです。これが文化でなくて何が文化でしょう。

 言語体系というのは、こういうものなんです。もちろん小さな事として、日本の中の方言なんかも含まれるでしょう。たとえば、生粋の薩摩弁なんて、信州生まれ関東育ちの私はもちろん、宮崎の人にも熊本の人にもわからないんです。これは私も経験しました。

 この滅亡に追い討ちをかけるのが、インターネットやコンピューターの普及です。これを逆手にとって、アボリジニの言葉でウィンドウズを作れなんていう、新手の動きもあるようですが、大勢は、滅亡方向へのバイアスです。

 そんなことを、さらっと教えてくれる、必読本です。

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