« 今井取材 | トップページ | ゴジラ »

フルサトをつくる

  9784487808120

 「なりわいをつくる」という本を書いた著者の新作です。といってもそっちは読んでいないのだけれど、なんとなく脱力系なのはわかる、そんな感じです。いわゆる昨今の若者の田舎志向の指南書であるとともに、それがどういうものであるのかということが、わかる、そんな本です。
  最後のほうに書いてあるのですが、田舎暮らしをしようとすると、田舎暮らしの先輩から言われがちな言葉に、「骨を埋める覚悟はあるか」という言葉があります。これに対し、筆者は、そんな二者択一には意味が無いのではないか?というスタンスから、どうすればそんなところを軽く超えて、楽しい田舎暮らしができるかと言うところを考察しています。
こう書くと、なかなかスバラシイ本に聞こえると思いますが、私らの世代としては、ちょっと違和感を感じてしまう、そんな本になっています。

  というのも、現代社会の矛盾を何とかできる、カウンター的な社会を示せないという世代的な運命をまず、受け入れなければならないのです。そして、それゆえ、昨今の若者の「現状肯定:その中で楽しくやろうや」という極現実的な路線を、否定できないわけです。ゆえに、いやいやながらもその現実肯定路線に同意せざるを得ないという、非情なジレンマの中で、読んでしまったと言うこともあるでしょう。なんだか抽象的過ぎて分からなくなってきたので、具体的な話にすると、まあ、田舎にどっぷり浸かるのではなく、都会でおいしい仕事や、楽しい仲間とワイワイやりながら、疲れたら田舎に行って、できれば第2のアジトのような住まいを借りて、充電できたら、また情報がいっぱいあって刺激的な都会に戻って、おもしろおかしく暮らせればいいよね。そういう感じです。そのために、田舎に拠点的な住まいをシェアハウスとして作って、都会の友達と楽しみ方を、田舎にそのまま持ち込んで、都会から田舎に移ってきたIターンの人たちの「地域づくり」の活動が面白ければリンクして、話の合う、「面白い」人たちと交流し、楽しく暮らそうと言うわけです。

 今の若い人たちは・・・と言う言い方には語弊があることは承知の上で、そのあっけらかんとした、自自己中心的な物言いに、違和感を感じても、黙るしかないのです。
 これは、ただただ、私たち世代が、あるべき社会像を示せなかったと言うところに、責任があるわけで、アートだ、音楽だ、友達だ、とうつつを抜かしている…なんて口が裂けてもいえない私たちは、横でヘラヘラしながら、物分りの良い理解者のような顔をしているしかないのです。

|
|

« 今井取材 | トップページ | ゴジラ »

今週の本棚」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/397928/57354199

この記事へのトラックバック一覧です: フルサトをつくる:

« 今井取材 | トップページ | ゴジラ »