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「紙の月」 傑作かもしれない

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 女心を書かせたら右に出るものは居ないといえそうな、角田光代の小説を「桐島~」の吉田大八監督が見事に映画にしてみせた もう大傑作といえる作品になっています。

  ありきたりの犯罪映画が、なぜこういう犯罪が起こったかということを解き明かしていくような いわば、ドキュメンタリータッチで描かれるんですが、これはまったく手法が違う。ありきたりの娯楽犯罪映画とは一線を画してします。 結局、初日動員こそ、出しましたが、その後苦戦しているのは、このへんの映画の深さ、マニアックなファンしか受け付けないような 映画の懐の深さの証明といえるでしょう。

   こうあるべきという人生、それが普通ですが、そういう卓袱台をひっくり返したいという 誰もが持っている願望を、ピリピリと刺激する、とんでもない映画なんです。  銀行に勤め、横領をする犯人約の宮澤りえがすばらしい演技で、追い詰めれれば追い詰められるほど美しくなっていくヒロイン・・・というより ファム・ファタルですね・・・を演じています。

   その壊れそうな儚い美しさが、ラストにものすごい凄みをもって、噴出するのです。 逃げるための疾走なんですが、全てを振り切って、全てを捨て去って、いわば本当の自由へと逃げていく。使い込みはそのための準備だったのかもしれません。 この描写で、私たちは、犯罪が革命であることを知るのです。金にがんじがらめにされた私たちの呪縛を説くための革命なんです。  たいてい 前作がすばらしいと、次回作がボシャる監督が多いのですが(四十九日のレシピのタナダユキなど)吉田監督は桐島を上回る 今度は大人の世界の闇を描くことに成功しています。その重さがいまいちヒットしない所以でもあるのですが・・・

 最後は外国のシーン。逃避行の末、多分たどり着いた異国で、穏やかな表情を見せている主人公。その表情からは、「私は『ありがちな人生』からこうして逃げたのよ。さあ、あなたはどうするの」と言ってるような感じが、読み取れるのです。

 

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