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「女性たちの貧困」は、今に始まったことではないはずだけど・・・

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 NHKの特集番組で放映された内容を書籍化したものだ。映像が先行しているので、見た方もいるのではないかと思う。以前の貧困問題とは違う、新しい貧困とでも言うような問題が、顕在化してきてから、もう、ずいぶんと時間がたっているようにも思うが、次々と新たな貧困が発見されているというのが、新自由主義やグローバリズム以降の日本の社会では定番になりつつある。そして、それに対する処方箋も作れないような、政治の貧困もまた、深まっているというのが現実だ。

 今回の「女性」という対象も、まさに社会の一番「弱い」部分にしわ寄せが行っているという点では、以前と同様の構造であるともいえるだろう。しかし、その内実はすさまじい。社会の進化に従うように、貧困も情報化やグローバル化の方向へと合わせて「進化」しているようにも見える。貧困といえども、高度になっているわけだ。  

 内容はルポなので、とにかくショッキングな事実が明かされていく。社会的な存在としての女性、生物的な存在としての女性、それぞれのシーンに合わせて、搾取され、貧困化していく女性が描かれる。両親の離婚に始まる家庭の貧困から、人生のスタートラインにも立てないようなダメージを受け、家賃と生活費以外には支出も出来ないような収入で、保育士になれば生活も安定すると、奨学金を借りて、進学する女性。もちろん保育士になっても年収三百万円レベルで、奨学金という借金を抱えれば、とても安定とはいえないのであるが、彼女たちにしてみれば、考えに考えた結論なのだ。 そんな中、母、姉、妹の母子家庭が全員でネットカフェで「生活」(文字通り二年間の生活だ)している
事例が紹介される。その実態は、たぶん僕たちには想像もつかないような背景と、経済的な状況だと思う。

 最後に性的な搾取と絡んだ、女性の状況が語られる。そういう貧困の行き着く果ては、今も昔もそこなのだ。中でも衝撃的だったのは、風俗に行き着き、あげくその仕事の中で妊娠してしまった女性の話だ。もちろん、そういうことに対応したNPOがあり、そこで出産し、里子に出されるのであるが、そのような妊娠で、母性云々を言うほうが間違っているとは思うが、お腹の子どもが動くのが「気持ち悪い」ことであり、「誰だかわからない父親に似ていなければいいと・・・、そういう男が一番嫌いだから似ていなければいいと」言う言葉。ショッキングだ。

 そして、専門家の言葉。「性産業が、職とともに住宅であるとか、夜間や病児も含めた保育など、しっかりしたセーフティネットになっている。これは社会保障の敗北といえる」
底の抜けた社会になってしまった日本は、まさに「板子一枚、下は地獄」と言った状況になってしまっているのだ。       

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