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「海炭市叙景」を書いた作家

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 「そこのみにて光輝く」という映画を観てから、この佐藤泰志という作家が気になっていたのだけれど、やっと読むことが出来ました。この作家、なぜ埋もれていたのかがわからないくらい、力のある作家です。

 たぶん。現代を代表する作家といってもいいでしょう。まず簡潔な文章。センテンスの短さが初期の丸山健二のようなハードボイルドな感じを醸します。それでいながら、最近の量産作家のような、説明的な小説(わかりやすくして、低レベルな読者もつかもうとしているのかな・・・)だとか、構成と設定だけが勝負みたいなものとは一線を画しています。
それでいて、小さな生の輝きを大切にしているというような評価が与えられていますが、私には、そうは思えない。どちらかというと、揺るがない絶望、絶望の果ての更なる絶望・・・と言った感じがするのです。
 

 お話は、函館が舞台なのは間違いなく、その不況の嵐が吹き荒れ、地方の現実を直視せざるを得ないその地で、それなりに暮らしている、そういう人たちが、絶望の中に埋もれながら、淡々と生きている。生きるために生きている、そのやるせない現実を赤裸々に、見せ付けていくのです。短編十数編でのオムニバスのような形式なので、繰り返し繰り返し、呪文のように、語られていきます。その、絶望に自分の感性が麻痺する時が、余りにも心地よく佐藤泰志に中毒していくわけですね。はまってます。

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