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「この世界の片隅に」

 日本のアニメです。昨年末に急に話題になったので、観てきました。11月の封切で、いきなりキネマ旬報の年間一位になったので、えっ、「君の名は」ではないのって、驚きましたが・・・。

 お話は戦争ものなんですが、主人公がちょっとトロい感じの女の子。まあ、こういう女性は多いですよね。特に当時は、ほんとにこうだったと思います。町で見染められて、嫁に欲しいと話が来る。そしてそれを受け入れる・・・みたいな。で、その生活が淡々とつづられていきます。反戦を大上段に構えるような作風でないのが、とても共感を呼びます。決して無関係ではないんですが、「私の上を静かに通り過ぎていく歴史」という感じのとらえ方が、たぶん民衆と歴史の関係としては、正しい認識なんだと思いました。僕らもそうですから。

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 そんな淡々とした中にも、身内が死んだり、爆撃を受けたりという、直接的な影響が重ねられていきます。その描写が、やはり控えめな印象を与えるように作られていて、すず(主人公はそういう名前です)の主観的な感情で綴られていくんです。それがたまらなく、普通で、自然体なんですね。考えてみれば、僕らも本当はそうなわけで、後付けの知識で、「なんで戦争に反対しなかったんだ」みたいなことを言いますが、大きな歴史の前では、個人は無力でしかないわけで、流れが反戦で動いていれば、それに乗ることもできたでしょうが、全くの逆の方向へと跳ね返すことは無理なわけです。そんなことを考えました。

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 とにかく、そういう意味では傑作です。「君の名は」(さすがにキネマ旬報のベストテンで圏外にするのはやりすぎと思っているので)とは、あまりにもかけ離れているので、くらべられませんが、かたや、世界に通用するアニメ、かたや心に染み入る、日本でしか通用しない(?)アニメ(たぶん、中国、や韓国から見れば・・・ですが)。そんな風に考えることにすれば、納得がいきます。

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