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2018年2月

フリオ・リャマサーレス

 スペインの作家です。翻訳家の腕がいいのだと思いますが、はぎれのいい素晴らしい語り口の文章で、久々によい作家に出会えた感じです。中長編の小説が3~4、短編集やアンソロジー風なものが5~6編あるようです。寡作らしい。取り上げているテーマや素材に、世界的な作家のセンスや雰囲気を感じます。

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 長編の「黄色い雨」と「狼たちの月」は、いずれも、もう逃れられない運命の中で、次第に追い詰められ、もがいていく人間の本性を描いていく。行きつ戻りつする心の葛藤、そのあたりの描写が、乾いた言葉でつづられた文章ゆえ、読む者の胸に突き刺さってくる。

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 そして、回想録のような体裁をとっているのが、「無声映画のシーン」。様々な人々の様々な暮らしを描くことで、そのありようが、「スペイン」をあぶり出してくる。自伝的に自分と周りの人たちを描いているように見えるのだけれど、その素材によって、スペインの「風土」をきっちりと描き切れている。思わずまとめ読みしてしまった…ということです。

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映画「彼女がその名を知らない鳥たち」

 場末のロードショーが終わっちゃう前にと、急いで見に行ってきました。で、やっぱ素晴らしかった。アウトレイジの「全員悪人」風に言えば、予告編からは「全員不愉快」みたいな印象。が、蓋をあけて見れば、「最後には純愛もの」という意表を突いた展開。それまでの不愉快っぷりが、壮絶だっただけに、意表のつき方が半端ない。

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 で、阿部サダヲのよごっれぷりも半端なく、この俳優の実力を思い知らされたのでした。松坂桃李や竹野内豊のアルアルぶりも、すんばらしかった。特に、松坂が、写真集の中に書かれている言葉を、自分をよく見せるためにそのまま、口説き文句の様に使っちゃってるところ(ラスト近くにそれがばれるんだけど)あたりが、ほんとにゲスで、竹野内が、自分の出世のために、蒼井優を上役への「進物」として使うのも、ほんとにクズ。この二人のゲスぶり、クズぶりが、薄汚い阿部サダヲを、美しい天使の様に、見せてもくれるわけで、そのギャップがね・・・蒼井優と阿部のなれそめのほほえましさと相まって、ほんと、傑作になってると思う。いいねえ。ほんと。

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